個人情報保護法、最新の改正ポイントと中小企業がやるべき対応
個人情報保護法は、2003年の制定以降、複数回の改正を経てきました。
そして2026年、新たな改正法が成立・公布されています。
「また改正されたらしいが、うちのような中小企業にも関係あるのか」と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、2026年の改正の要点と、中小企業が優先的に取り組むべき対応を解説します。
個人情報保護法の改正動向(最新の要点)

個人情報保護法には、3年ごとに施行状況を見直すルールが定められています。
この見直しに基づき、2023年11月から検討が始まり、2026年4月に改正法案が国会に提出、同年7月10日に成立、7月17日に公布されました。
施行時期は、公布日から2年を超えない範囲内で政令によって定められる予定で、最長で2028年7月頃までに全面施行される見込みです。
ただし、罰則規定の整理など一部の条項については、公布から6ヶ月後の2027年1月頃に先行して施行される予定です。
今回の改正で、特に実務への影響が大きいと見られるポイントをいくつか紹介します。
委託・受託に関するルールの明確化
これまで解釈上のルールとされてきた「受託した業務の目的外で個人情報を取り扱ってはならない」という原則が、法律上明記される形になりました。
委託先・受託先の双方にとって、契約書における取り決めの重要性がこれまで以上に増すことになります。
業務委託契約を見直すなら、こちらの記事を参考にしてください。
子どもの個人情報保護に関する規定の新設
未成年者の個人情報を取り扱う際、本人の最善の利益を優先して考慮すべきとする規定が新設されます。
マンション管理会社など、入居者の家族情報(未成年の子どもを含む)を扱う場合にも関係し得る内容です。
AI活用・データ利活用に関する見直し
AIによる統計作成等を目的とする場合の取得・提供・活用の要件が緩和される見込みです。
データ利活用を進めたい企業にとっては追い風となる一方、取り扱いの適正性を担保する社内体制がこれまで以上に求められます。
【注意点】
具体的な施行日や運用の詳細は、今後政令・委員会規則で定められる予定です。
最新情報は、個人情報保護委員会の公表資料で随時確認することをおすすめします。
中小企業が対応すべき優先順位
大企業のように専任の法務・コンプライアンス部門を持たない中小企業にとって、改正内容すべてに一度に対応するのは現実的ではありません。
優先順位をつけて取り組むことをおすすめします。
優先度:高
- 委託契約書の点検
委託目的外利用の禁止が法定化されることを踏まえ、既存の委託契約・業務委託契約の条項を見直す - 個人情報の棚卸し
どの部署が、どのデータを、どこに保存し、誰がアクセスできるかを把握する
優先度:中
- プライバシーポリシーの見直し
最新の法令に沿った内容になっているか確認する - 未成年者の個人情報を扱う業務の洗い出し
該当する業務がある場合、取り扱い方針を検討する
優先度:中〜低(今後の政令・ガイドラインを見ながら)
- AI・データ利活用関連の対応
自社でAIを活用したデータ分析等を行っている場合、要件緩和の詳細が固まり次第、対応を検討する
プライバシーポリシーの見直し方
プライバシーポリシーは、一度作成したら終わりではなく、法改正のたびに見直すべき書類です。
見直しの際は、次の点を確認してください。
- 利用目的が具体的に記載されているか
抽象的な表現になっていないか - 委託の有無・委託先の範囲について記載があるか
業務委託を行っている場合、その旨が反映されているか - 開示・訂正・利用停止等の請求への対応方法が明記されているか
本人からの請求にどう対応するかの窓口が明確か - 最新の法改正を反映しているか
数年前に作成したまま更新されていないか
プライバシーポリシーは、ウェブサイトに掲載するだけの形式的な書類ではなく、実際の運用と一致していることが重要です。
社内フローの整備(取得・保管・廃棄)
個人情報は、「取得」「保管」「廃棄」という一連の流れの中で管理する必要があります。
それぞれの段階で見直すべきポイントを整理します。
取得段階
- 何のために取得するのか、利用目的を明確にしているか
- 取得時に本人への説明(利用目的の通知・公表)が適切に行われているか
保管段階
- 誰がアクセスできる状態になっているか(アクセス権限の管理)
- 保管場所・保管方法が、情報の重要度に見合っているか
廃棄段階
- 利用目的を達成した後、不要になった情報を適切に廃棄する仕組みがあるか
- 廃棄のタイミング・方法があらかじめ決められているか
この3段階のうち、特に「廃棄」は見落とされがちです。
「とりあえず残しておく」という運用は、保有する情報が増えるほどリスクも増大させることになります。
実際に管理会社があつかう個人情報の管理については、こちらで詳しく解説しています。。
違反した場合のリスクと罰則
個人情報保護法に違反した場合、行政指導や命令の対象になるだけでなく、悪質なケースでは刑事罰の対象にもなり得ます。
また、法人に対しては、行為者本人よりも重い罰金刑が科される両罰規定が設けられています。
法的な罰則以上に実務上重要なのは、情報漏えい等が発生した場合の社会的信用の低下です。
取引先や入居者・顧客からの信頼を失うことは、罰則以上に事業への影響が大きい場合があります。
「法律で決まっているから対応する」というだけでなく、「信頼を守るために対応する」という視点を持つことが大切です。
なお、今回の改正に伴う罰則規定の具体的な運用の詳細については、今後公表される政令・ガイドラインを踏まえて確認する必要があります。
まとめ
2026年の個人情報保護法改正では、委託・受託に関するルールの明確化や、子どもの個人情報保護規定の新設など、実務に直結する変更が含まれています。
施行は段階的に行われる予定のため、慌てて全てに対応する必要はありませんが、特に委託契約書の点検や個人情報の棚卸しは、優先的に着手しておくことをおすすめします。
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